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スキュー指数をわかりやすく解説(ブラックスワンとテールリスクを示す指標)

スキュー指数

スキュー指数とは

スキュー指数(英語:CBOE Skew Index)とは、米シカゴ・オプション取引所(CBOE)が算出する市場のスキュー(ゆがみ)を指数化した指標です。

スキュー指数は、ブラックスワン(起こりえないと思われていたことが起こって、起こった時の衝撃が強い事象のこと)やテールリスクが起こる可能性を示す指標です。







用語の解説

シカゴ・オプション取引所(CBOE)とは、米国最大の株式オプション取引所です。シカゴ・マーカンタイル取引所を母体として生まれたオプション取引を導入した取引所で、全米の刀剣取引所がオプション鳥居引きを導入するキッカケとなった取引所で、現在、個別舞柄株や株価指数など、様々なオプション商品が上場しています。

ブラックスワンとは、起こりえないと思われていたことが起こって、起こった時の衝撃が強い事象のことです。スワンとは「白鳥」です。従来、白鳥は白い鳥だけだと信じられていましたが、1697年にオーストラリアで黒い白鳥が発見され、それまでの考えが一気に覆りました。それ以来、ありえないことが起こることを「ブラックスワン」と言うようになりました。金融市場では、これまでのデータや経験からは予測できなかったことが起こって市場が強い衝撃(被害)を受け、金融危機に発展するような事象のことを「ブラックスワンイベント」と呼んでいます。

テールリスクとは、発生する確率は低いものの、実際発生すると巨大な損失をもたらすリスクです。自然災害やテロ、リーマンショックなど発生頻度が低く影響度が大きいことを対象とするのが一般的です。


オプションを簡単に解説

オプションとは、”権利”を取引するデリバティブ取引の一つです。オプションが意味する”権利”には、「買う権利」と「売る権利」があります。買う権利のことを「コールオプション」、売る権利のことを「プットオプション」といいます。

オプションを売ったり買ったりする取引というのは、現在の市場価格に関係なく、あらかじめ定められた期日(満期日)に、あらかじめ定められた価格(権利行使価格)でオプションを売買する取引です。オプション取引で重要なのは「買う権利」or「売る権利」を売買する取引であるということです。「権利」ですので「義務」が生じないということがポイントです。義務が生じないので、その権利を実行するか放棄するかは任意となります。






スキュー指数の計算方法

スキュー指数は、S&P500種株価指数OTM(アウト・オブ・ザ・マネー)のオプション価格から市場のゆがみを指数化しています。簡単に言うと、コールオプションのボラティリティから、プットオプションのボラティリティを差し引いて算出されます。

計算方法は複雑ですので、詳しく知りたい方はシカゴ・オプション取引所(CBOE)が公表している以下のページを参照してください。


S&P500種株価指数

S&P500種株価指数とは、「S&P500」と呼ばれる、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが算出・公表している米国株の動向を示す代表的な株価指数です。米国株式市場の時価総額の約80%をカバーしている株価指数であるため、米国株式市場全体の動向を見る際に利用されます。 本指数はニューヨーク証券取引所(NYSE)、NASDAQ(ナスダック)に上場している代表的な500銘柄(工業株400種、運輸株20種、公共株40種、金融株40種の各指数)の株価を浮動株調整後の時価総額加重平均し指数化されています。


OTM(アウト・オブ・ザ・マネー)とは

オプションには本質的価値を表す言葉として、

  • イン・ザ・マネー(ITM)
  • アット・ザ・マネー(ATM)
  • アウト・オブ・ザ・マネー(OTM)

という表現があります。
アウト・オブ・ザ・マネー(OTM) とは、本質的価値がゼロになっている状態にあるオプションです。現在の市場価格が権利行使価格と同じ状態にあるオプションのことをいいます。


本質的価値とは

本質的価値とは、その時点でオプションの権利を行使すれば得られる価値です。現在の市場価格と比べたオプションの価値ということです。例えば、今市場で1000円の価格がついている時、800円のコールオプションの本質的価値は、200円ということになります。


スキュー指数の見方

スキュー指数は、オプション市場で将来の大きな価格変動リスクに備える取引が増えると上昇する指数です。ゆえに、ブラックスワンへの警戒心が高まれば上昇する指数です。

スキュー指数は、100を平常の状態としており、100より上の数値であれば市場で警戒心が高まっている、リスクが高まっていることを示します。オプション取引において、売る権利(プットオプション)が買われており、プットオプションのボラティリティ(価格の変動性)が上がっている状態です。英国のEU離脱(ブレグジット)決定時、スキュー指数は1990年以降では最高の153.66まで上昇しました。

オプションは、急落時の備えとして使われることが主なので、通常プット・オプションの方が多くなりやすいです。ゆえに、スキュー指数が100を切ることはほぼありません。


スキュー指数の推移

スキュー指数は、当サイトの姉妹サイト「株式マーケットデータ」の以下のページで推移・チャート・時系列が確認できます。







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